評判だけは知っている人も、まったく知らない人も、一度訪れればやがて通い詰めてしまう―。そんなお店が、自由が丘にあります。京急大井田線・尾山台駅徒歩2分、和食「田園安齋」です。
ぬくもりのある店内に一歩入ると、広がる出汁の良い香り。その瞬間、おぼろげな期待は確信へと変わります。鰹節と鮪節は築地から良いものを。これらに利尻産昆布を加え、料理ごとに使い分けています。誠実なんですね。店主との語らいも楽しいカウンター、ゆっくりにぎやかなテーブル席、5名まで入れる掘りごたつ席の個室は特別な日にも、おすすめ。初めての方には、予算や好みも相談できるおまかせコースが良いでしょう。丁寧な仕込み、調味料に頼らず仕上げていく料理の数々。旬の食材は、日本列島が与えてくれる恵み。満開の桜のように、華やかな世界が、始めから終わりまで咲き乱れます。
定番の餡かけ風だし巻き玉子は真剣さを、味噌なのにデミグラスソースのようにまろやかな牛すじ煮込みには創意工夫を、ともに実感。名物の黄金揚げ穴子にいたっては、口に入れた途端、時間が止まってしまうほど。感激は感動へ、そして忘れられぬ食遺産へ、と。日々の研究、熱意に支えられた腕の確かさは、メニューを選ばず。もちろん、初夏を知らせる空豆のかき揚げなど、素材そのものの滋味をいただけるものも揃っています。
四季を肴にすれば、合わせたいのは、その土地の風土を醸した日本酒。このお店で扱うのは、秋田の銘酒・高清水のみ。その潔い態度は、裏を返せば店主の揺るぎない自信の表れ。自分の料理にいちばん合う酒は何かを探求した結果ゆえの選択です。「あっぱれ」であり、もうお任せする他ない。そんな感慨にさせられます。口当たりすっきりした辛口は、一品一品の旨味、魅力を余すことなく引き出してくれます。例えば、五色白和えと共にすれば、まだ幼いつぼみが、ほのかに花開くような、そんな瞬間に立ち会えます。
最後の〆には、塩むすびや梅そうめんを。心も身体も幸せいっぱい。一度訪れれば、常連エントリーは確実。自由が丘の「田園安齋」は心に灯すオアシスです。
店名 田園安齋
住所 〒158-0086 東京都世田谷区尾山台3-24-11 第十大浦ビル105
ご予約・お問い合わせ 03-3702-3774
アクセス 東急大井町線「尾山台駅」 徒歩2分
営業時間 [夜]18:00～22:30（L.O.21:30）
定休日 月曜日
